よろず無駄無し屋

出たとこ勝負な文章ゆえの生々しさ

僕が出会った古いものを扱う少々変わった素敵な人物

こんばんは、無駄無し屋です。

今日も深夜の執筆となります。

寝ようと思って布団の中に入っていたのですが、インスピレーションというやつはこちらの都合はお構いなしで降ってくるので困ったもんです。

 

さて、日付は変わってしまっているので、もう昨日ということになるのですが、ブログを始めて10記事となりました。

この記事は11回目の投稿となります。

これまでの10記事でブログという未知の世界での準備運動ができてきたような感があるので、ここからが本番とします

10記事書きながら、これからどういうブログに育てていきたいのかを考えていましたら、これまでの自分の人生を振り返ることになりました。

そうすると、ある一つの事実が浮かび上がってきたんです。

それはなにかというと、

古いもの、変わったものが好き

と、いうことでした。

それならば今後の無駄無し屋のブログはそういう路線でいこうじゃないかとなったわけなので、まだ見ぬ未来の読者のみなさん、これからどうぞよろしくお願いします。

 

前置きはこれくらいにしておきます。

 

古いもの、変わったものと言うのは、物ということだけじゃなく、者という意味も含まれています。

記念すべき本番第一稿目は、僕に商いのいろはを教えてくれた恩師の一人であるHさんについて書こうと思います。

Hさんと知り合ったのは今から八年ほど前のことでした。

当時僕はトラックに乗って田舎へ行き、鉄屑を買い取る仕事をしていました。

そもそも無駄無し屋という屋号はこの仕事を始めるときにつけたものです。

所謂一種の古物商のはしくれでした。

田舎で鉄屑を買い取っていると、骨董品なんかも買い取るようになってきました。

業界用語でウブ出し屋といわれる仕事です。

一般家庭から買い付けて、店売りの骨董屋にそれを売るという流れなんですが、知人から、信用できるいい買い手がいるよと紹介されたのがHさんでした。

知人に連れられてHさんの店に始めて行ったときのことは今でもよく覚えてますね。

店の裏口からHさんは出てきました。

まぁこんなかんじの人です。

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右側がHさん

正直、人相がいいとは言い難い感じでしたね。

まぁ、とにかくここからHさんとの付き合いが始まったのです。

Hさんはこの道40年の大ベテランでいて、月に一度の骨董市を30年以上も前から主催する、地元の骨董業界ではちょっとした顔であることを知ったのは、ただの売り手買い手の関係から一歩進んだ、数ヵ月あとのことでした。

 

ちょくちょく仕事の合間にHさんの店に顔を出しては世間話をしながら、品物の時代の判別の仕方とか、田舎へ買い出しに行くときのノウハウなどを教えて貰いました。

大量の買い出しがあった時には一緒についてきていろいろと助けてもらったこともあります。

まぁ頑固な人でして、好き嫌いもはっきりしているので合わない人間とは一切口をききません。

日頃の会話で僕に対して「あんた、短気はいけんぞ」とよく戒めてくれるのはありがたいことなのですが、一緒に車に乗っていると例えば大型トラックが、道路脇から少々無理な割り込みでもしてこようものなら即座に窓から顔を出し、口角泡を飛ばすくらいの勢いで、

「こりゃあぁぁぁっ!(怒)」

と、茹で蛸の如くに顔面を真っ赤にしておらび散らす始末なのです。

 

人間らしくていいじゃないですか。嫌いじゃないですよ、僕はそういうの。

こういうエピソードには枚挙に暇がないHさんなのですが、今にして思えば当時僕によく「短気はいけん」と言っていたのは、あるいは自分自身への戒めでもあったのかもしれません。

 

そんなHさんは女好きです。

自分でも「ワシの商売のモチベーションは女じゃ」と、言っていました。

中国人とかフィリピン人のお店に今でも月に数回通うみたいです。

二度ほど一緒に出かけたことがありますが、そこでは普段見せることのない無邪気でいい笑顔のHさんがいて、驚きと共に微笑ましさを覚えた記憶があります。

 

Hさんのお店で雑談をしていると、時々そういうお店の女の人がやって来て、自分の国の置物などを持ち込んでHさんに買い取ってもらう光景を目にしたことがあります。

素人の僕が見ても買い取る価値があるようなものには見えないので聞いてみると、

「あいつらはいろんな事情があって困っとるんじゃ」と、言うのです。

勿論渡す金額も二千円とか三千円ほどのものですが、僕がビックリしたのは物の価値に対してお金を払う古物商であるHさんが、人の事情に対してお金を払ったことでした。

よくよく聞いているとやって来る女の人たちはもう20年来の付き合いらしいのでした。

人によっては商売人として失格という意見もあるかと思われる一件ですが、僕はそこにどこか暖かい人情味というものを感じられて、Hさんはやさしい人だなぁと思いました。

 

今は僕は古物商の仕事をしていないし、Hさんがいる街からは少し離れた地元で活動しているので、ここ一年ほどは会ってはいませんが、なかなかこういう味のある人間は今や稀少であり、魅力を感じるので春になったら、フラっとHさんがいるあの骨董市に顔を出してみようと思っています。

 

今日はこのへんで